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other's Dylan

 ここではオリジナル・アルバム以外の、サウンド・トラック、ビデオ、ゲスト参加等でディランの演奏が収録されているものを紹介したいと思います(バック・ボーカルやハーモニカ等、一部のバックでの参加は除く)。私は熱烈な収集家でもなく、あくまで手元にある資料の限りですので、その点はどうぞご了承下さい。

 

「A Tribute To Woody Guthrie」 1971

「The Concert For Bangladesh」 1971

「Doug Sahm And Band」 Doug Sahm 1972

「Songs For The New Depression」 Bette Midler 1976

「No Reason To Cry」 Eric Clapton 1976

「The Last Walz」 The Band 1978

「This World Is Not My Home」 Lone Justice 1999

「USA for Africa」&「San City」 1985

「Band Of The Hand」as single 1986

「20 Years Of Rock'n'Roll」as video 1987

「Hearts Of Fire」 Soundtrack 1987

「A Vision Shared : Folkways」 1988

「Flashback」 Soundtrack 1990

「For Our Children」 1991

「Across The Borderline」 Willie Nelson 1993

「Flight 65-90」 The Byrds 1994

「Feeling Minesota」 Soundtrack 1996

「The Songs Of Jimmie Rodgers : A Tribute」 1997

「Eric Clapton & Friends In Concert」as video 1999

「Timeless / A Tribute To Hank Williams」 2001

「Good Rockin' Tonight 〜The Legacy Of Sun Records」 2001

 

 

 

 

 

 

 

 

*「A Tribute To Woody Guthrie」1971

I Ain't Got No Home / Dear Mrs. Roosevelt / The Grand Coulee Dam

「John Wesley Harding」が発表された翌年の '68年1月に、ニューヨークのカーネギー・ホールで催されたウディ・ガスリーを偲ぶコンサートでの模様を収録したアルバムです。

 '66年のバイク事故以来はじめてのステージで、ディランはザ・バンドをバックに3曲のウデイ・ガスリー・ソングを演奏しています。泥臭いザ・バンドの演奏を従え、ファンキーなロカビリー歌手のような歌いっぷりで、素朴な弾き語りのフォーク・シンガーが多いアルバムの中では、何とも際だった印象です。

 出演者は他にジョーン・バエズ、ピート・シーガー、アロウ・ガスリー、ジャック・エリオットなど。

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*「The Concert For Bangladesh」 1971

A Hard Rain's A-Gonna Fall / It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry / Blowin' In The Wind / Mr.Tambourine Man / Just Like A Woman

 ニューヨークのマディソン・スクェア・ガーデンで行われたジョージ・ハリスン主催のチャリティ・コンサートに、リンゴ・スター、ビリー・プレストン、エリック・クラプトン、レオン・セッセルらと共にディランも出演しました。どれも久々に生気に満ちた演奏で、レオンのベース、ジョージのギターをバックにした Just Like A Woman なども見所です。アルバムとビデオが出ていますが、ビデオの方は何故か Mr.Tambourine Man が削られているのが残念です。

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*「Doug Sahm And Band」 Doug Sahm 1972

Wallflower / Blues Stay Away From Me / (Is Anybody Going To) San Antone

 テックス・メックスの雄・ダグ・ザームとの共演で、ディラン作の Wallflower と、ダグ・ザームの定番曲 (Is Anybody Going To) San Antone 、そしてクラッシックスの Blues Stay Away From Me の他、もう一曲でディランはハモンド・オルガンなどを演奏しています。ディランのパートは、バック・ボーカルを無理矢理に前面に押し出したようなミックスですが、演奏自体をとても楽しんでいるような姿が伝わってきます。

 他にもドクター・ジョンや、ライ・クーダーのアルバムでも有名なフラーコ・ヒメネスなどが参加している、和気アイアイとしたなごやかな名盤です。

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*「Songs For The New Depression」 Bette Midler 1976

Buckets Of Rain

 傑作「Blood On The Tracks」の一曲を、ディランはここでベット・ミドラーとデュエットしています。質素な感じのオリジナルとはまたちょっと違い、どこかコメカル・ソングのような味わい。曲の後半では二人の会話のような掛け合いも聴けます。

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*「No Reason To Cry」 Eric Clapton 1976

Sign Language

 ディランの他、ザ・バンドのメンバー、ロン・ウッド、ジョージ・フェイム、ビリー・プレストンらが参加した豪華なゲスト・アルバム。「The Last Walz」に登場するシャングリア・スタジオにて録音されました。

 ディランとのデュエットはクラプトンとの共作のようで、バックにロビー・ロバートソンがギターを弾いているというワクワクものの顔ぶれ。哀愁に満ちた佳曲です。

 ほかにもトップを飾る Beautiful Thing はリチャード・マニュエルとリック・ダンコの共作。カントリー・タッチの All Our Past Times はクラプトンとダンコの共作で二人のデュエットに加え、ロビーとクラプトンの共演も聴けてなんとも贅沢。リチャードのピアノも随所で光っています。

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*「The Last Walz」 The Band 1978

Baby Let Me Follow You Down / I Don't Believe You / Foever Young / I Shall Be Released

 いわずと知れたザ・バンドの解散コンサート。似合っているのか不似合いなのか分からないディランの白い帽子と、タイミングを窺うザ・バンドのメンバーの表情が印象的でした。

 デビュー・アルバムからの二つの Baby Let Me Follow You Down ロック・バージョンを挟んでの I Don't Believe You Foever Young 。特に後者のロビーのギターは絶品のように思います。I Shall Be Released はゲスト全員によるフィナーレ曲ですが、ディランがなかば強引に分捕ってしまって、リチャード・マニュエルがちと可哀想でした。

 これもアルバムとビデオが出ていますが、ビデオの方は最初の Baby Let Me Follow You Down I Don't Believe You の二曲がカットされています。

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*「This World Is Not My Home」 Lone Justice 1999

Go Away Little Boy

 愛しのマリア・マッキーちゃん率いるローン・ジャスティスのためにディランが提供した作品で、'84年のレコーディングにディランはロン・ウッドとともに参加し、ハーモニカとリズム・ギターを演奏しています。ローン・ジャスティスにぴったりのカントリー・ロック調の、軽やかで楽しい一曲です。

 当初、かれらのセカンド・アルバムからの12インチ・シングルのB面として発表されましたが、'99年に発売されたベスト・アルバムに、ボブ・クリアマウンテンが新たにリミックスを施して収録されました。

 ロン・ウッドがリード・ギターを、またハートブレイカーズのベモント・テンチがキーボードを弾いています。

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*「USA for Africa」as We Are The World 1985

*「San City」 1985

 ボブ・ゲルドフを中心に企画されたノーテンキなチャリティ・ショーと、南アフリカの人種隔離政策にもの申したお祭り騒ぎで、ディランも担ぎ出されました。

 ただ前者のディランのボーカルはやはり貫禄充分で、スプリングスティーンの遠吠えなど格違い。メイキング版で、ディランにボーカル指導をするスティービー・ワンダーとのシーンも興味深いものでした。San City の方は、ディランの露出度はホンのちょっぴりのお愛想程度だったと記憶しています。

 この後、Live Aid、Farm Aid といった関連のチャリティ・コンサートが催されましたが、前者ではよく知られているように、幕内でフィナーレの準備がドヤドヤとされている最中に、ディランと二人のストーンズはモニターもないステージにおん出されて、あのお祭り騒ぎのエゴイズムの哀れな生贄とされました。が、後日にハート・ブレイカーズを従えた Farm Aid で、見事な演奏で決めてくれました。

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*「Band Of The Hand」 single 1986

Band Of The Hand

 トム・ペティ&ザ・ハート・ブレイカーズとツアーをしていた頃に、三流のアメリカ映画の主題歌として発売されたシングル曲です。ハート・ブレイカーズのバックも締まった好演で、ディランのボーカルも冴えているのですが、いかせん曲がちと凡庸だったかな、と。

 ちなみにB面は、聞く気もしないインストゥルメンタルで、ディランの曲ではありません。

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*「20 Years Of Rock'n'Roll」 1987

Tangled Up In Blue

 ローリング・ストーン誌発刊20周年を記念して企画された、デニス・ホッパーをホストにロックの歴史をひもとくビデオ作品。ここにディランの「Hard Rain」の頃の貴重なライブ (ディラン制作の映画『Renald and Crara』からの映像) が一曲収められていて、白塗りの化粧を塗りたくった顔を大写しにした映像は実にスリリングです。

 たくさんのアーティストたちの映像のほか、ニール・ヤングやランディ・ニューマン、ルー・リードたちのインタビュー・シーンも見応えがあります。

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*「Hearts Of Fire」 Soundtrack 1987

The Usual / Had A Dream About You, Baby / Night After Night

 突如浮上したディラン主演(?)の映画製作。フタを開けてみたら、引退して農場で暮らす老年ロックン・ローラーという設定はいいのだけど、ほとんどヘビ・メタ姉ちゃんのフィオナや、安っぽいデビット・ボウイもどきの俳優ルパート・エベレットの音楽が、どうしたらディランとかち合うの? おまけに脚本も演出も三流の、お粗末な映画でした。

 ただ全編に渡って演技するディランを堪能できるのは貴重だし、農場の納屋でギターをつま弾いて一曲(That's All という未発表曲)歌うシーンや、ホテルの家具を窓から放り投げて部屋を出て「うわ、ひどいゴミだな」なんてすっとぼけるシーンなどは、結構好きです。口パクですが、ロン・ウッドをバックに従えたステージでの演奏シーンもあります。

 というわけで、そのサントラ盤のLPもしっかり購入しました。ディランの曲は上記の3曲で、クラプトンのギターが絶品のジョン・ハイアット作 The Usual は、聴き応えのある逸品です。 Had A Dream About You, Baby は翌年に発表された「Down In The Groove」にボーカルを差し替え、キーボードを追加して収録されました。 Night After Night はホーン・セクションが賑やかな、ディランにしては珍しく明るく軽やかな曲調ですが、まあ平凡な出来映え。なお三曲とも、ロン・ウッドがベース奏者で参加しています。

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*「A Vision Shared : Folkways」 1988

Pretty Boy Floyd

 ディラン自身も多大な影響を受けた、アメリカン・フォークの二大祖父、ウディ・ガスリーとレッドベリーの音楽をメインに、かれらが録音を残したフォークウェイズという老舗レーベルの資金援助を目的として企画された非常に真摯な姿勢のアルバムです。

 ディランはここでウディの曲を、若き頃にやはり影響を受けたジャック・エリオットを思わせる弾き語りのスタイルで演奏しています。後のフル・アコースティック・アルバム「Good As I Been To You」の前哨版ともいえるでしょうか。

 他にもジョン・メレンキャンプ、ゴスペルのスウィート・ハニー・イン・ザ・ロック、スプリングスティーン、タージ・マハル、リトル・リチャード、U2、ウィリー・ネルソン、エミルー・ハリスなどが、それぞれのアメリカン・ミュージックへの想いを馳せた滋味深い演奏を聴かせてくれます。

 ビデオ版ではロビー・ロバートソンが進行役を務め、昔の貴重な映像や証言、各アーティストたちの生演奏が堪能できますが、残念なことにディランは撮影の日程が合わなかったそうで、デビュー・アルバムに収録されたSong To Woody をバックにウディについて語る声だけで参加しています。

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*「Flashback」 Soundtrack 1990

People Get Ready

 デニス・ホッパーとキーファー・サザーランド共演作のサントラ盤で、ディランはこのトラディショナルの名曲をとりあげています。アレンジはごくごく地味ですが、神妙なディランのボーカルは歌詞と相まって感動的で、個人的には'90年代の Knockin' On Heaven's Door のように愛聴しています。

 ほかにもこのサントラは、元クラッシュのミック・ジョーンズ率いるビッグ・オーディオ・ダイナマイト、R.E.M、エディ・ブリッケルのカバーするルー・リードの名曲 Walk On The Wild Side や、ジミ・ヘン、ジェファーソン・エアプレイン、ステェファン・ウルフの'60年代クラッシックが散りばめられていて、なかなか楽しめる一枚です。

 なお映画の中でホンのワン・シーン、ディランはチェーンソーを振り上げてオブジェを制作している怪しい(?)芸術家の役で出演もしています。

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*「For Our Children」 1991

This Old Man

 エイズに侵された子供たちのためにディズニーが企画したチャリティ・アルバムで、ディランは黒人ブルース・マンのジェッシー・フラーが得意としていた素朴なナンバーを、かつてのブルース芸人たちの路上パフォーマンスを再現するようなワンマン・バンド風のスタイルで演奏しています。どこかイギリスのマザー・グースの曲を思わせるような、微笑ましい演奏です。

 地味な企画アルバムですが、スティングがシー・シャンティといわれる船乗りのトラッド曲を歌っていたり、ジャクソン・ブラウンがビートルズの Golden Slumbers をカバーしたり、リトル・リチャードやジェイムス・テイラー、キャロル・キング、パット・ベネターらが新曲を演奏し、またブライアン・ウィルソン、スプリングスティーン、ポール・マッカットニーといったアーティストたちが既発の音源を提供していて、なかなか豪華な一枚です。

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*「Across The Borderline」 Willie Nelson 1993

Heatland

 カントリーの大御所・ウィリー・ネルソンとのデュエットで、曲も二人の共作のクレジットになっています。郷愁感をそそる、なかなか味わいのある曲です。

 アルバム全体も気合いの入った好盤で、ディランの「Under The Red Sky」のドン・ウォズをプロデューサーに迎え、ディランの他にもポール・サイモン、ボニー・レイット、シニード・オコナー、モーズ・アリスンなどのゲストたちと共演しています。

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*「Flight 65-90」 The Byrds 1994

Mr.Tambourine Man

 '90年に行われたロイ・オービソンの追悼コンサートで、ディランはザ・バーズとこの名曲をデュエットしています。オールド・ファンにはなかなか感慨深い共演だったのではないでしょうか。CD4枚組の限定版 Box Set に、このときのボーナス・テイクが収められました。

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*「Feeling Minesota」 Soundtrack 1996

Ring Of Fire

 ディランの故郷がミネソタということでお声がかかったのでしょうか、カントリーのクラッシック・ナンバーを、ディランは温泉に浸かったおやじの鼻歌のように朗々と歌っています。くつろいで愉しめる一曲です。

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*「The Songs Of Jimmie Rodgers : A Tribute」 1997

My Blue Eyed Jane

 アメリカ音楽をこよなく愛しているディランが設立したエジプシャンズという新レーベルから第1弾の企画として発売された、カントリーの父ともいわれるジミー・ロジャースのトリビュート盤。

 参加メンバーがU2のボノ、ウィリー・ネルソン、グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシア、ジョン・メレンキャンプ、ヴァン・モリスン、ネヴィル・ブラザースのアーロン・ネヴィルとこれまた豪華で、日本ではあまり知られていないその他の主にカントリー畑のアーティストたちの熱演も含めて、アメリカ音楽のルーツを筏に乗って旅するような、実に味わい深い充実の一枚です。私は大変気に入っています。

 ディランはバッキー・バクスターらの当時のツアー・メンバーと、切ないカントリー・タッチのラブ・ソングを情感たっぷりの歌いっぷりで好演しています。

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*「Eric Clapton & Friends In Concert」 1999

Don't Think Twice, It's All Right / Crossroad

 クラプトンが私財を投じて設立したアル中患者のための施設 Crossroad Centre のチャリティ企画として催されたコンサートにディランもゲスト参加して、クラプトンと二人で上記の二曲を演奏しています。

 どちらもシンプルなアレンジで、二人ともいっしょのステージにいるのが嬉しくて仕方ないといった感じで、まるで恋人同士のように見つめ合っているのが微笑ましいです。

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*「Timeless / A Tribute To Hank Williams」 2001

I Can't Get You Off My Mind

 ジミー・ロジャースに続いてこんどはハンク・ウィリアムスの音楽を敬愛するミュージシャンたちが集った、アメリカン・ミュージック・レヴューとでも称したいトリビュート盤で、顔ぶれもかなり豪華。有名どころではディランの他、シェリル・クロウ、ベック、マーク・ノップラー、エミルー・ハリス、トム・ペティ、キース・リチャーズ、そしてジョニー・キャッシュなど。参加アーティストのそれぞれが自分の根っこを掘り下げて、もういちど音楽の原点と邂逅したような、そんな朴訥とした魅力と滋味に満ちあふれています。

 ディランはアルバムのトップでアップ・テンポの軽快なホンキー・トンク・カントリーを、ツアー・バンドとともに飄々とこなしています。

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*「Good Rockin' Tonight 〜The Legacy Of Sun Records」 2001

Red Cadillac & Black Moustache

 若きプレスリーやハウリン・ウルフ等、数多くの伝説的なレコーディングを生み出したサン・レコードの50周年を記念したトリビュート盤で、参加アーティストも信じられないくらいの豪華さ。列挙するとポール・マッカートニー、ジェフ・ベック&クリッシー・ハインド、ジミー・ペイジ&ロバート・プラント、エルトン・ジョン、トム・ペティ、ヴァン・モリスン&カール・パーキンス、ブライアン・フェリー、エリック・クラプトン、シェリル・クロウ、マーク・ノップラーといった面々が続々と登場するのだから、ロック・ファンには堪らない。冒頭のポールを皮切りに、並みいるベテラン勢が小細工なしの、若々しくストレートな演奏ぶりを見せているのが何やら感動的です。

 ディランは日本ではあまり馴染みのないロカビリー・シンガー、ウォーレン・スミスがサンに残したメロディアスなナンバーを披露。同時期に録音された“Love And Theft”にも一脈通じる、表情豊かな滋味深い演奏で聞かせてくれます。

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