TOP | how to start | books | other's

 

  

■ いわゆる ディラン本 について...

 ここではディランに関する書籍、いわゆるディラン本について、私が読み知っている限りの範囲でご紹介をしたいと思います。だいたいのものは網羅していると思うのだけど、基本的に日本で出版されたものに限定しておきます。どうせ英語なんて私にゃあ読めませんけど。

 

 

 

 まずディラン自身の著作から。

 

 これは私はいまだ未入手で読んでいないのですが、「タランチュラ Tarantula(角川書店・1973)という、ディラン自身の手によって出版された本があります。内容はシュールな散文のようです。現在はもちろん絶版ですが、ぜひとも角川さんに復刻していただきたいものです。

 

 それからディランの歌詞をまとめた「ボブ・ディラン全詩集 Lirics 1962-1985(晶文社)があります。かなり大判で値段も良いですが、アルバムにはない未発表曲の歌詞や、ディラン自身のスケッチが載っているのが魅力的です。以前に出ていたもの(Writings And Drawings By Bob Dylan)に数年前、80年代の作品を新たに追加して新装出版されたので、こちらは現在も手にはいると思います。

 

 

 

 続いて、身近なディラン関連。

 

 ちょっと昔のものですが、「ボブ・ディラン語録(三井徹訳編・ブロンズ社・1973)という邦題で、ディランの主に60年代のインタビューからの語録をまとめた本が出ていました。原題は確か Own His Word のようなものだったと思います。現在は絶版でしょう。

 

 「ボブ・ディラン 指名手配 Wanted Man(ジョン・ボールディ編/菅野ヘッケル訳・シンコーミュージック・1993)は、ディランに関わった人たちのインタビューを編集したものです。ロン・ウッドやトム・ペティ、マリア・マッキーなどのアーティストたちや、セッション・ミュージシャンや映画監督などによる楽屋話が興味深い一冊です。特にクラプトンの章は感動的です。誤植がかなり目立つのが惜しまれますが(ちゃんと仕事せえよ)。

 

 70年代のローリング・サンダー・レビューに同行した劇作家のサム・シェパードが綴った貴重なエッセイがあります。これは昔に「ディランが街にやってきた」というタイトルでサンリオ出版から出ていたのが、「ローリングサンダー航海日誌 Rolling Thander Reviw Log Book(諏訪優/菅野彰子訳・河出文庫・1993)として手軽な文庫版で復刻されたものです。散文詩的な、こくのある一冊です。

 

 

 

 最後に伝記や研究本の類。

 

 古典的な伝記としてはまず「ボブ・ディラン(アンソニー・スカデュット・二見書房・1971)でしょうか。生い立ちから60年代の活躍までを辿った詳細な著作ですが、残念ながら現在は絶版になっています。私も苦労の末に京都の古書店で埃まみれに埋もれていたのを発見しました。デビューからフォーク時代、そしてロックへの転換期の記述は、身近な人々の証言を織り交ぜて読み応えがあります。

 

 「ディラン、風を歌う Song & Dance Man(マイケル・グレイ著/三井徹訳・晶文社・1973)は、初の本格的な評論集として私も多大な影響を受けました。いまでは少々もったいぶった構えが鼻につくでもないですが、ディランの詩からアメリカの文化や歴史をたどり、韻律としてのことばの意味をすくい取り、歌詞についての邪道な憶測を排したあたりはさすが。最近の盲目的なディラン本に比べて、常に冷静な批評を行っている部分も好感が持てる一冊です。

 

 「ボブ・ディラン 一粒の砂にさえも Dylan-What's Happened?(ポール・ウィリアムズ著/三浦久訳・プレイガイドジャーナル社・1981)は、いまだ賛否両論のある'80年前後の、ディランのキリスト教への傾倒の季節を扱った珍しい一冊です。やや甘口の批評ですが、宗教的な部分にはあまり深入りせず、家庭崩壊を経たひとりの弱き魂のあくまで内面的な精神遍歴として寄り添っている姿勢は、一般の人にも共感して読めるのではないかと思います。残念ながら、現在はたぶん絶版だろうと思います。

 

 前述のマイケル・グレイの続編ともいえる「ボブ・ディラン 詩の研究 Voice Without Restrait(ジョン・ハードマン/三浦久訳・CBSソニー出版・1983)は、タイトルどうりにディランの歌詞に焦点を当てた一冊です。1980年の SAVED の頃までの作品を扱っています。二番煎じの域は出ませんが、まあまあ手堅く妥当な内容ではないでしょうか。

 

 「ボブ・ディラン大百科 Stolen Morment(クリントン・ヘイリン・CBSソニー出版・1992)は、ディランの生涯にわたる全データを詳細に集めた特別素行調査大全集のような、いやいやご苦労さんの一冊です。レコーディングの日程から、休暇先や起訴問題まで、ディラン・ファンなら一家に一冊常備して、暇なときに煎餅でも囓りながらパラパラとめくりたいディラン本です。

 

 前述の「一粒の砂にさえも」の著者が90年代に入って続々と発表したのが「ボブ・ディラン 瞬間(とき)の轍 Performing Artist : The Music Of Bob Dylan(ポール・ウィリアムズ著/菅野ヘッケル&彰子訳・音楽之友社・1992)の1と2巻。原題の示すようにスタジオ録音のアルバムよりパフォーマーとしてのディランこそが最も重要なんじゃよ、というわけでこの人は本当に根っからのディランおたくなのでしょう、膨大な海賊版テープの聞き取りを元に、過去のステージを再現してくれます。まさにおたくのためのおたくが書いたおたく本。おたくの私も夢中で読みました。が、なにしろ長いので途中でちょっと息切れしました。続編の予定もあるそうです。参った。

 

 「ボブ・ディラン 果てしなき旅 A Man Called Alias(リチャード・ウィリアムズ/菅野ヘッケル訳・大栄出版・1993)は、豊富なカラー写真が満載の、写真で綴るディラン年代記といった感じの大判の一冊。年代順のディラン史の記述も詳細かつ丁寧で、巻末には'92年の「GOOD AS I BEEN TO YOU」までのアルバム解説もあり、初心者の人にもおすすめです。値段は少々高いですが。

 

 「ディランズ・ビート(鈴木カツ・シンコーミュージック・1997)は、94年に短波放送の音楽番組で数ヶ月オン・エアされた「ボブ・ディラン・クラブ」の模様を再録した一冊。日本のディランおたくたちが集まり、ディランの曲やマニアックなカバー曲・ルーツ曲などをかけながら、わくわくひそひそと話している様は、まるで深夜の秘密結社の集会のようで、何とも心がなごみます。こんないい番組は、短波じゃなくFMでやってくれ。

 

 

 

 ざっとこんなものでしょうか。我ながらまめに読んでいて、可愛いくらいです。特別自分では収集癖はないつもりなのですが、やはりディランとなるとつい手にとってしまうのでしょうか。

 他にも新刊や後日に目についたものがあったら、その都度書き加えていきたいと思っています。 

 

 


 

 私はまだ読んでいませんが、こんなのもあるようです。(実は雑誌の広告で見つけました。とりあえず広告文から転載しておきます)

 「ボブ・ディラン全アルバム解説(パトリック・ハンフリー/西留清比古訳・シンコーミュージック) 【デビュー・アルバム「ボブ・ディラン」から「MTVアンプラグド」、そしてCD-ROM「ハイウェイ61インタラクティヴ」までを徹底解説。巻頭カラー・ページではディラン・マニアとして知られるみうらじゅん氏所有の貴重な各国盤を公開】

 「60年代のボブ・ディラン(三橋一夫・文庫版・シンコーミュージック) 【25年前に書き下ろされた日本人による好著の復刻版】

 

 

 

 

TOP | how to start | books | other's