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Under The Red Sky 1990

アルバム・コメント 

1. Wiggle Wiggle
2. Under The Red Sky
3. Unbelievable
4. Born In Time
5. T.V. Talkin' Song
6. 10,000 Men
7. 2×2
8. God Knows
9. Handy Dandy
10. Cat's In The Well

 

 

 

 

 

 

 プロデューサーに新たに Was Not Was のドン・ウォズを迎え、豪華なゲスト陣を配して制作された作品。「Oh Mercy」の次作ともあり、またちょっとひねりの利いた曲目タイトルを発売前に見たとき、私は「今度もこれはいける」と思いました。が、開いてみたおみくじは“小吉”くらいだったでしょうか....

 はじめに言ってしまうと、このアルバムは'80年代の「New Morning」的な作品、というのが私の感想です。「New Morning」のときにはディラン自身が昔の自分のサウンドをなぞって失敗したけれど、今度はプロデューサーのドン・ウォズが「Blonde On Blonde」の頃のディラン・サウンドの再現を図り、それにディランも乗ったか乗せられたかして失敗した。

 その顕著な例が、ご丁寧にもアル・クーパーがオルガンを弾く Handy Dandy で、これは誰が聞いても Like A Rolling Stone の安っぽいパクリです。「Oh Mercy」のダニエル・ラノアがあくまで現在形のディランから音楽を引き出したのに対して、ドン・ウォズは誘惑にかられてつい後を向いてしまった。そこにこのアルバムの、ソツのないカラフルな音色ながら、どこか物足りなさが残る.... という欠点があるような気がします。

 個人的には T.V. Talkin' Song や 10,000 Men あたりのシンプルな楽曲が、いちばんこの時期のディランらしい素直な作品に仕上がっているようにも思います。ジョージ・ハリスンのスライド・ギターが魅力的な Under The Red Sky の童話的世界もそれなりに良い味を出しているし、作品としてはクラプトンも近作「Pilgrim」(これは良いアルバムだった)でカバーした胸を打つ哀愁バラッドの Born In Time が私は大好きなのですが、これはライブ音源の方がずっと良いサウンドを出しています。他には亡きスティーブ・レイ・ヴォーンのプレイが数曲で聴けることでしょうか。

 ちなみに上記以外の主なゲスト陣をあげると、ブルース・ホーンズビー、エルトン・ジョン、デビット・クロスビー、デビッド・リンドレー、そしてガンズ&ローゼズのギタリストのスラッシュなど。

 これだけの面子を揃えてつくったわりには、ごくごく平均点の出来映え。昼飯にめぼしい店も見つからず、「まあ、杵屋のうどんにしておくか」といったところ、かな。懐古的なファンには歓迎されたかも知れませんが。

 

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Under The Red Sky

 

 

まっかな空の下 裏通りに
少年と少女が暮らしていた
まっかな空の下 裏通りに
少年と少女が暮らしていた

 

ひとりの老人が月に住んでいた
夏のある日に かれはぶらりとやって来た
ひとりの老人が月に住んでいた
夏のある日に かれはぶらりとやって来た

 

いつか少女よ おまえのためにすべては新しくなるだろう
いつか少女よ おまえは靴くらいに大きなダイアを手にするだろう

 

風よ低く吹け 風よ高く吹け
ある日少年と少女は 二人とも焼かれてパイになってしまった
風よ低く吹け 風よ高く吹け
ある日少年と少女は 二人とも焼かれてパイになってしまった

 

これが王国に至る鍵で これがその街だ
この盲目の馬がおまえを案内してくれるだろう

 

鳥よ、さえずれ 鳥よ、飛んでゆけ
ある日 男は月に帰り 河は干上がった
鳥よ、さえずれ 鳥よ、飛んでゆけ
ある日 男は月に帰り 河は干上がった

 

 

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Born In Time

 

 

ひとりぼっちの夜に
青白い星屑の光が夜空に瞬き
二人が夢のようであった頃の きみの面影が
白黒写真のようにすべり込んでくる

 

記録破りの猛暑のなかで
きみは古ぼけた通りをふらふらとやってきて
ぼくの胸の鼓動に耳を澄ませた
ぼくらが間に合って生まれた場所で

 

もう一晩もなく もう一度のキスもない
これっきり こんなことはもう二度とない
老練さも必要だし 意志も必要だけど
あまりにさらけ過ぎてしまった

法律のようにきっちりと きみはやって来て見た
そして母親のように きみは若くして結婚した
苦労の末に きみはぼくを陥れ
こんな気持ちによろめいたまま ぼくはひとり残された

 

成り行き次第で あらゆる神経が試される
そんなのぼりのカーブでは
値しないものを得ることは難しい
ぼくらが間に合って生まれた場所で

 

いくどとなく きみはぼくに懇願し
情熱に揺らぎ 代償を払った
ねえ、あのときの炎は
いまもまだくすぶっているんだ

きみは雪 そして雨だった
きみは裸で そして明瞭だった
ねえ、ほんとうの真実のことばは
話されなかったか あるいは砕けてしまったのだろうか

 

あの不思議の丘に
霧の立ちこめた宿命の蜘蛛の巣に
きみはぼくを置き去りにした
二人が間に合って生まれた場所に

 

 

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