Born In Time
ひとりぼっちの夜に
青白い星屑の光が夜空に瞬き
二人が夢のようであった頃の きみの面影が
白黒写真のようにすべり込んでくる
記録破りの猛暑のなかで
きみは古ぼけた通りをふらふらとやってきて
ぼくの胸の鼓動に耳を澄ませた
ぼくらが間に合って生まれた場所で
もう一晩もなく もう一度のキスもない
これっきり こんなことはもう二度とない
老練さも必要だし 意志も必要だけど
あまりにさらけ過ぎてしまった
法律のようにきっちりと きみはやって来て見た
そして母親のように きみは若くして結婚した
苦労の末に きみはぼくを陥れ
こんな気持ちによろめいたまま ぼくはひとり残された
成り行き次第で あらゆる神経が試される
そんなのぼりのカーブでは
値しないものを得ることは難しい
ぼくらが間に合って生まれた場所で
いくどとなく きみはぼくに懇願し
情熱に揺らぎ 代償を払った
ねえ、あのときの炎は
いまもまだくすぶっているんだ
きみは雪 そして雨だった
きみは裸で そして明瞭だった
ねえ、ほんとうの真実のことばは
話されなかったか あるいは砕けてしまったのだろうか
あの不思議の丘に
霧の立ちこめた宿命の蜘蛛の巣に
きみはぼくを置き去りにした
二人が間に合って生まれた場所に