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わたしの耳にくくられた深紅の炎が
燃え盛り 強力なワナを仕掛け
思いつきを私の地図として
焼けつくような路上で 炎とともに襲いかかった
“せとぎわですぐにも出会うだろう”とわたしは
額を熱くし 得意げに言ったものだ
ああ、けれど あのときはひどく年寄りじみていて
いまのわたしはあのときよりずっと若い
なかば壊れかけた嫌悪感が跳び出し
“あらゆる憎しみを引き裂いてしまえ”とわたしは叫んだ
生きることは白黒のはっきりしたものだという嘘を
わたしの頭蓋骨が喋っている-----そんな夢を見た
マスケット銃兵の夢見がちな事実は
ともかくも 奥深い根拠をもっている
ああ、けれど あのときはひどく年寄りじみていて
いまのわたしはあのときよりずっと若い
にせものの嫉妬心から
少女の顔つきは
古代の歴史の政略をそらんじることへと続く
小径をつくりあげ
ともかく 福音主義者たちの亡骸によって
思いもかけず、ではあるが 振り落とされた
ああ、けれど あのときはひどく年寄りじみていて
いまのわたしはあのときよりずっと若い
みずから任じた教授の舌は
馬鹿をやるには生真面目すぎ
つまりは学校でいうところの平等にあたる
自由についてまくしたてたものだ
“平等” と、わたしはその言葉を
まるで結婚の誓いように話した
ああ、けれど あのときはひどく年寄りじみていて
いまのわたしはあのときよりずっと若い
兵士の構えをして わたしが手で
狙いをつけた雑種の犬は
わたしが説教をするやいなや わたし自身が敵となることを
危ぶみもしないと教える
舳先から船尾まで反乱の起きた
混乱したボートによって わたしの道筋はひかれていた
ああ、けれど あのときはひどく年寄りじみていて
いまのわたしはあのときよりずっと若い
そう 軽んじるには高尚すぎるほどの
抽象的な脅威が
自分には何か守るべきものがあるはずだと
惑わすとき わたしはひどく警戒した
“善と悪”といった用語を わたしは
とにかく 疑いもせず 実に明瞭に定義する
ああ、けれど あのときはひどく年寄りじみていて
いまのわたしはあのときよりずっと若い