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The 30th Anniversary Concert Celebration (live)
1993

アルバム・コメント

 

1. Like A Rolling Stone
2. Leopard-Skin Pill Box Hat / ジョン・メレンキャンプ with アル・クーパー

3. Blowin' In The Wind / スティービー・ワンダー

4. Wanted Man / ジョージ・サラグッド

5. I Want You / ソフィー・B・ホーキンス

6. Foot Of Pride / ルー・リード

7. Master Of War / エディ・ヴェダー&マイク・マクレディ from“パール・ジャム”

8. The Times They Are A-Changin' / トレイシー・チャップマン

9. It Ain't Me, Babe / ジョニー・キャッシュ&ジェーン・カーター・キャッシュ

10. What Was It You Wanted / ウィリー・ネルソン

11. I'll Be Your Baby, Tonight / クリス・クリストファスン

12. Higway 61 Revisited / ジョニー・ウィンター

13. Seven Days / ロン・ウッド

14. Just Like A Woman / リッチー・ヘブンス

15. When The Ship Comes In / クランシー・ブラザース&トミー・メイケム、ロビー・オコーネル

16. War(*Bob Marley) / シニード・オコナー

17. Just Like Tom Thumb's Blues
18. All Along The Wachtower / ニール・ヤング

19. I Shall Be Released / クリッシー・ハインド

20. Love Minus Zero / No Limit
21. Don't Think Twice, It's All Right / エリック・クラプトン

22. Emotionaly Yous / オージェイズ

23. When I Paint My Masterpiece / ザ・バンド

24. You Ain't Goin' Nowhere / ロザンナ・キャッシュ、ショーン・コルビン、メアリー・チェイビン・カーペンター

25. If Not For You
26. Absolutely Sweet Marie / ジョージ・ハリスン

27. License To Kill
28. Rainy Day Woman #12&35 / トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ

29. Mr,Tambourine Man / ロジャー・マッギン with トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ

30. Song To Woody
31. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding) / ボブ・ディラン

32. My Back Pages / ボブ・ディラン、ニール・ヤング、ジョージ・ハリスン、トム・ペティ、エリック・クラプトン、ロジャー・マッギン

33. Knockin' On Heaven's Door / ボブ・ディラン with オール・ゲスト

34. Girl From The North Country / ボブ・ディラン

 

with the band ; Booker T & MG's, G.E.Smith, Jim Keltner

●1992.10.16 ニューヨーク、マディソン・スクェア・ガーデン

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 '92年10月ニューヨークにて、ディランのデビュー30周年を記念して行われた大がかりなイベントの模様を収録したものです。まずは、いやいやこれだけの面子がよくぞ一堂に会したものだ、さすがディラン、と。

 ディランは昔から自分の名声よりも自分の作品が、多くのアーティストたちによって愛され歌われることを望んでいたような感じでしたから、このように旧知の友人たちや若い世代のミュージシャンたちが自分のさまざまな時代の曲をとりあげ祝ってくれたことは、おそらく感無量だったのではないでしょうか。実際、後日に「ぼくのような人間さえ、とても感動したコンサートだった」というディラン自身のコメントも伝わってきています。

 何より、このイベントを「ボブ・フェス」と勝手に命名して、あのジミ・ヘンの亡霊が乗り移ったような圧巻のパフォーマンスを見せつけ、オール・ゲストでの場面でもただひとりギリギリとくい込むようなギター・プレイを弾き続け、最後にディランから握手を求められていたニール・ヤングは、このイベントのまさに屋台骨ともいえる存在で、いかに多くのミュージシャンたちがディランの音楽に多大な影響を受け、またそれを感謝してやまないという真情に満ち溢れていて、実に感動的でした。ニール・ヤング、いつまでも転がり続けろ。

 他にも個人的には、'80年代の隠れた名曲をとりあげてくれた迫真もののルー・リード、ご機嫌で実にクールなスライドを披露してくれたジョニー・ウィンター、ディランの魂に寄り添うような誠実なプレイを見せてくれたエリック・クラプトン等に心が顫えましたし、若き熱情のパール・ジャムの二人や、選曲が心憎かったウィリー・ネルソン、生ギター一本で会場を湧かせたリッチー・ヘブンス、拍手は少なかったけどパワフルな熱演のオージェイズなども印象的でした。

 また、とてもリリックで艶っぽいボーカルを聴かせてくれたソフィー・B・ホーキンスはその美形に魅せられて、後日についふらふらとアルバムまで買ってしまいました。真っ赤なスーツのジョージ・ハリスンはいかにもショーマンて感じだし、よぼよぼ爺さん連中のクランシー・ブラザーズや酩酊ザ・バンドはご愛敬、トム・ペティはやり手で、淡々としたカッコマンのジョージ・サラグッドなんかも良い味出してました、ってこれだけ豪華メンバーじゃ、切りがないよ。

 また会場が一時騒然としたシニード・オコナーのトラブル (政治的な姿勢からブーイングを受けた彼女が、予定していたディランの I Believe In You をとりやめて急遽ボブ・マーリィーの War を歌い、涙ながらにステージを降りた) も、どこか因縁めいて印象的でした。これもある意味でディランのこうした催しに相応しい出来事だったかも知れません。

 それと、バックを務めたドラムスのジム・ケルトナー、当時のディランのツアー・コンダクターだったギタリストのG.E.スミスを含む、ブッカー.T & MG's の演奏にも拍手。古くはオーティス・レディング、そしてあのソウルなブルース・ブラザースのバンドだぜ、おい。目立たないけど、ツボを抑えたクロッパーさんのギターも最高でした。

 そして主役のディランは、何とも無愛想ぶっきらぼうで、これまた良かった。だいたいこの人は特に近年、注目を浴びているとぷいと背を向けてしまうタイプなので、これも可愛い性格だと大目に見てあげましょう。演奏も雑でかなり内にこもっていましたが、ただしアンコールで演奏した Girl From The North Country は、演奏のうまい下手を飛び越して、ディランの熱い真摯な感情がストレートに胸に伝わってくるような感動的なプレイだったように思います。

 ディランは登場したその冒頭で、あのデビュー・アルバムに収録されているウディー・ガスリーに捧げた Song To Woody を歌いました。これはつまり、音楽というものは連綿と受け渡される大きなバトンのようなもの、いまこんなにたくさんの人に集まってお祝いしてもらっている俺だって、そのバトンを手渡された一人に過ぎないんだよという、実にディランらしい謙虚で誠実なメッセージであったように思うのです。

 最後に、このコンサートの模様はビデオとCDの形で発売されていますが、収録曲などはそれぞれ若干異なる部分もあるようです。現在のところ私は衛星で放送された録画テープしか所有していないので、その辺は各人お買いあげ時にご確認ください。ビデオ版には当日の楽屋裏の映像なども少々入っているらしいです。

 

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